10/26にリリースされた
TXT[TOMORROW X TOGETHER]の
3rdミニアルバム「minisode1 : Blue Hour」
アルバム全曲の概要と、制作者などを紹介します♪
今回の3rdミニアルバム「minisode1 : Blue Hour」は、「夢の章」以来、新たなシリーズに向かう前に5人のメンバーが聞かせる素朴なストーリーが込められているアルバムになっています。
つまり、デビューしてからずっと夢の中のストーリーを披露していたTXTが、次の扉を開くその合間に、少しだけ現実的な話をしてみようか…的なアルバムになっていると思います。
収録曲 全曲プレビュー♪
今アルバムでは「Ghosting」をはじめ、「5時53分の空で発見した君と僕」「天気を失ってしまった」「Wishlist」「下校の道」と多彩なジャンルの5曲で構成されています。それぞれの曲の簡単な説明と作詞作曲者を見ていきましょう!
01. Ghosting
作曲: EL CAPITXN,danke (lalala studio),Kyler Niko,David Charles Fischer,태현,이스란,1월 8일,Lennon Stella,Erin McCarley,Slow Rabbit,수빈,김보은 (Jam Factory),Ruuth,Chris James
「Ghosting」は、インディーズ・ロック(Indie Rock)に80年代の感性が加わったニューゲイズ(Nu Gaze)ジャンルの曲で、EL CAPITXN(エル・キャピタン)がプロデュースした曲です。
「Ghosting」というのは、誰かと急にすべての意思疎通を断絶し、消えていく行動を意味する新造語です。ありますよね、急にSNS全削除して音信不通みたいなの。グループライン無言で退出したっきり連絡ないとか(笑)自分が何か悪いことしたのかな?って複雑な気持ちになったりするやつ( 。-ω-)
この曲にはスビンとテヒョンが作詞に参加していて、やりとりが断絶された少年の混乱した心情を表現しています。会話をやり取りする相手が急に連絡がつかず、頻繁な感情変化を経験した中で、その相手が帰って来るのを望む気持ちを伝える歌になっていて、Nu Gazeジャンルの曲らしいちょっと切なさが感じられるようなノスタルジックな雰囲気が醸し出されたメロディラインに、儚く消えてしまいそうな繊細な歌声が良くマッチしているなと思います。
02. 5시 53분의 하늘에서 발견한 너와 나(Blue Hour)
*タイトル曲*
*タイトル曲*
作曲:Slow Rabbit, Kyler Niko, LIL 27 CLUB, 방시혁
タイトル曲「5時53分の空で発見した君と僕(Blue Hour)」の和訳動画はコチラから👈
歌詞の意味が分かると、より深く曲を感じることができますよ~。
タイトル曲「5時53分の空で発見した君と僕(Blue Hour)」は、TXTが新たに披露するディスコジャンルの楽曲で甘美ながらも活気に満ちたエネルギーを感じることができる曲です。
キャッチーなシンセサウンド、リズミカルなギターとベースが作り上げたダンサブルで、ひとつのトラックの上に明るくて楽しい雰囲気のメロディー、5人のメンバーのボーカルが合わさり彼らだけのディスコミュージックが完成。Big HitエンターテインメントのSlow Rabbitを中心に、パン・シヒョクプロデューサーが作詞・作曲共にに参加。さらに、イギリスの有名ポップアーティストのチャーリー・エックス・シー・エックスが参加し、トレンディながらも完成度の高いサウンドを生み出しています。
アルバムのタイトルにも入っていてサブタイトルにもなっているBlue Hourは、夕日に染まるオレンジ色の空から夜へと向かうにつれ深い青色に染まっていく空が一番美しい時間のこと。5時53分は今回のアルバムが発売される10月の日没時間で、ちょうどこの時期のBlue Hourの時間をさしています。
そして歌詞には、5時53分の空を見ながらぎこちない世界を経験し、怖れと美しさを同時に感じる少年たちの複雑な感情がこめられています。夕日に染まるオレンジ色の空から夜へと向かうにつれ深い青色に染まっていく空が一番美しい時間と同時に、暗闇がすぐに濃くなり、目の前にある存在を区分しずらい「イヌとオオカミの時間」でもあるBlue Hour。
日が暮れて闇が垂れこめば、目の前にいた友人が本当に自分の友達なのか分からない状況に不安を感じるけど、こんな瞬間でも少年たちはお互いが同じ気持ちであって欲しいと望むのです。
ミュージックビデオはファンタジー世界の中冒険を繰り広げる彼らの姿を通じて少年たちが感じる美しさと神秘性、続いて押し寄せてくる寂しさなどの情緒を表現しています。一瞬の無常であった、美しい少年時代の感情をうまく表現していて、日暮れの空が美しく染まった瞬間、まさにその瞬間が永遠に続くことを願う少年の願いと一緒に時間が止まり、始まる。丘の向こうからの大観覧車、回転木馬など幻想的雰囲気を演出する背景と共に多様な特殊効果が調和して一本の童話のような映像美を披露しています。
03. 날씨를 잃어버렸어 (We Lost The Summer)
作曲: Slow Rabbit, Pdogg, Charlotte Grace Victoria Lee, LIL 27 CLUB, Charlotte Aitchison, Kyle Bladt Knudsen, Colton Ward
イギリスのポップアーティストCharli XCXが曲作業全般に参加した「天気を失ってしまった(We Lost The Summer)」は、コロナ19 ‘パンデミックによって完全に変わった世界を現在進行形で経験している10代の話を解いた曲です。グラウンドで楽しく遊んだり、教室でイヤホンを分けあって音楽を聞くなど、これまでは当たり前で平凡だった光景が今は失われてしまった日常について歌っています。コロナ19パンデミックによって若者たちが学校も行けず、日常が乱れた状況で一体どのような話をすることができるだろうか悩みながら誕生した曲だそう。
おぼろげながらも清涼な感じのダンスホール(Dancehall)ジャンルの曲で、キャッチーなプラグ(Pluck)とギターサウンドが曲の魅力をさらに盛り上げています。当然だと思っていた日常が消えた後、押し寄せる不安感とこの状況をどう受け止めればよいか知らず混乱している内容の歌詞が聞く人々の共感を呼び起こす、今の時代にピッタリの曲と言えるでしょう。
パフォーマンスは「一緒にいたいのに、一緒にいられない」今の状況を振り付けに反映して表現されています。
04. Wishlist
作曲: Sam Klempner, 방시혁, Sunshine(Cazzi Opeia & Ellen Berg), Melanie Joy Fontana, Michel ‘Lindgren’ Schulz, 김보은(Jam factory), danke, 이스란, LIL 27 CLUB, 태현, 연준, 휴닝카이, Slow Rabbit, 조윤경, LUTRA
「Wishlist」は、テヒョン、ヨンジュン、ヒュニンカイが作詞・作曲に参加した曲で、好きな人の誕生日に完璧なプレゼントをあげたいのになにが欲しいのか教えてくれない相手のために焦燥している少年の震える思いを込めた曲です。
可愛らしく愛らしい歌詞が印象的で、青春の雰囲気を醸し出す明るい雰囲気のポップロックジャンルの楽曲は、清涼なギター演奏とキャッチーなメロディーが調和しています。
個人的には、こんなふうに色々悩んで想ってくれる彼氏とか、こんなふうに誰かに送るものをあれこれ悩む時間とか、遠い遠い記憶すぎて羨ましいを飛び越えて、現実味なく眺める万華鏡みたいな世界ですわ。触れることのできない繊細で綺麗な世界の曲。なにこの感想…私可哀相w
05. 하굣길 (Way Home)
作曲: 원더키드(Wonderkid), 신쿵, Sofia Kay, 방시혁, ADORA, Melanie Joy Fontana, Michel ‘Lindgren’ Schulz, 정바비, NU’MAKER, danke, 조은희(Joni)
「下校途中 (Way Home)」は、いつも見ていた風景がぎこちなく感じられる自分一人での下校途中、「すべてが蜃気楼なんじゃないだろうか」と寂しくて不安な気持ちになるけど、お互いがお互いを覚えているなら、いつも一緒なはずだと信じる少年の話を盛り込んだ曲です。
おぼろげな感じのフューチャーR&Bジャンルに、歌全般に独特なシンセサイザーサウンドが使用され、夢幻的ながらも清涼な雰囲気を共に感じられる曲に仕上がっています。
この曲にもパン・シヒョク代表が作詞・作曲共に携わっています。私は謎にシヒョク氏のあの姿でランドセル背負って帽子かぶって眼鏡かけて歩いて下校している様子をうっかり想像してしまって吹き出してしまいました。何想像してんだろうか…。
三栗あいの「minisode1 : Blue Hour」をもう少し掘り下げ♪
TOMORROW X TOGETHERがこれまでに発表した「夢の章」シリーズは、自分と違いながらも似ている友達に会った少年たちの成長劇を描いていました。
デビューアルバム(ミニ1集)「夢の章:STAR 」が「君」に会った喜びを歌ったとすれば、正規1集「夢の章:MAGIC」は友達と共に過ごす魔法のような冒険談を、ミニアルバム2集「夢の章:ETERNITY」は、現実と突然の葛藤で友情にひびが入った少年たちの混乱した感情を描いていたのです。
そして今回の「minisode1:Blue Hour」はその「夢の章」から新しいシリーズに移る前に5人のメンバーが語る小さなエピソードで、友達関係の変化によって全てがぎこちなく感じられる少年たちの話になっています。10代の少年の目で眺めた愛、友情、日常をはじめ、ポストコロナなど、今の等身大の彼らだけが描ける世界をアルバムに詰め込んでいるわけですね。
「blue hour」の説明は↑の曲紹介の所に書きましたが、少年の時期という極めて狭い「君」と「僕」だけが存在した世の中から、真の(大人のもっと広い)世界へ行く境界に立っている少年から大人になっていく狭間にいる彼らの状況を「blue hour」になぞらえているんですね。目の前に広がる世界が以前とは違うように感じられ、怖くもあるけど、彼らの目には今この瞬間は夕暮れの空のように美しく神秘的にも見えるのかもしれない。
刹那の美しさもつかの間、友人関係に亀裂を一回経験した少年たちはもう一緒にいても、どこか孤立したような気分になってしまう。完全に一人取り残されるかもしれないという思いに、ずっと一緒だった友達の空席がなおさら大きく感じて寂しさが押し寄せている様子なども表現されています。
眩しいほどに儚く尊い時間を過ごす話を盛り込んだこのアルバムを聴いていれば、早く大人になりたいのと同時に、この時間が永遠に続けばいいのにと思うほど楽しい子どもの時間も愛しんでいるあの頃の自分を思い出したりするのです。私もそういえば思っていたな~って。「この時間が永遠に続けばいいのに」って。で、続かないことも分かっていて、だからこそその瞬間を沢山写真におさめたり、音声を録音したりビデオを撮ったりして少しでも残そうとしてたんだよね。夕日眺めて泣いたこともあったよ…多感な年ごろでしたwwww
タイトル曲「5時53分の空で発見した君と僕(Blue Hour)」は、ここ最近流行りでどこもかしこも取り入れているディスコジャンルの曲で、TXTの先輩であるBTSがリリースして世界を席巻している「dynamite」もまさにディスコジャンルの曲で、明るい雰囲気も似ていることもあって、非常に既視感を覚える人が多い曲だと思います。
個人的にはBTSは完全に80年代に回帰するようなサウンドに感じる中、TXTは80年代ディスコジャンルのサウンドを現代に持ってきた上に、若干他の世界にシフトしたような、ふわふわした感じがする曲に仕上げているかなと思います。BTSが成熟した大人の雰囲気を醸し出しているとしたら、TXTは若いだけにフレッシュさが溢れだすような感じ。幼さが見えるともいうけれど、それが幻想的な雰囲気を醸し出す一因となっている感じですよね。
今回の振り付けは今までのほかに見ないような特徴的な振り付けよりは若干定番寄りかな?って感じはしますが、5時53分を指す時計を形象化した振り付けに始まり、曲の中・後半のコートと帽子を利用して特色ある構成のダンスブレイクで雰囲気を反転させる辺りは、目を見張ります。さらに、デビュー後初めてダンサーたちと息を合わせているのもまた新鮮に映るはず。
三栗あいの「minisode1 : Blue Hour」感想とオススメ曲♪
今回はデビューから今まで続けてきたシリーズとは少し毛色が違うので、今までのTXTの楽曲が好きだった人たちにとっては、なんとなく微妙な違和感を感じるアルバムとなっているんじゃないかなと思います。
が、着々と成長していく彼らの過程を繊細に汲み取った良いアルバムだと思います。今までのアルバム同様、深く考察する楽しみも含まれていて、ファンたちにとっては単にTXTの楽曲を楽しむだけでなく、様々なコンテンツを通して彼らの世界を体感することができる楽しさもあると思います♪
どれも聴きやすくていい曲ですが、タイトル曲の次に好きな曲は、トラック01.の「Ghosting」です。「사라진 너 사 사라진~♪」の部分が予想以上に頭の中に残ってぐるぐるめぐる感じと淡いパステル調の色が思い浮かぶような繊細なメロディと歌声がお気に入りです。
高速カムバックでもしない限り、今年の活動は今回のアルバムで終わりだと思うので、来年の彼らの活動にもまた期待しましょう✨